テーマ:poem

くぼみ

わたしは 小さなくぼみでしかありません そんなことを呟く君は まだ気づいていないのだろうか かわいた砂けむり立つ道に 降り続けた雨があがって まだどこにも 行きたくない雨を 受け止めてできた 小さな水のほとりのこと 雨上がりの光の空を 流れるまわたの雲を 誰かのために そのままに…
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幸福堂

新規開店の扉の前に 何やら長い行列ができていた 何のお店かわからないまま 行列につられて 次から次へと人は続いてゆく 誰かがぽつりと言った このお店には評判の 幸福になれるグッズがあるの 誰かがぽつりと言った このお店には評判の 幸福になれるサービスがあるの 何もわからないまま 次々と人は並ぶ …
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誰かの春になりたい

両手を双眼鏡にして ふざけてのぞき込んだ春は かなしいくらいどこまでも春らしい春 平凡という言葉が 痛いくらい熱く 冷たい胸に染み込んでくる 小さく泥跳ねしたままのシューズで いつもの道を歩きだせば そこはかとなく透明な雨の水たまり 雲はあいかわらず動いている 風はほんの少しまだ冷たくて 微かに…
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春の水になって

果てしないゆきみち 寄り添いながら歩く猫たちは ときどきブルルと 片方の足を上げながら それでも前へ前へと歩いてゆく 久しぶりの晴れの日だから 何よりもあたたかくて どこまでも真白なこの道を 太陽に向かって歩き続けていた 猫たちがそこにつけた おそろいの足跡は まばゆい春へのスタンプラリー や…
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平熱

  人は小脇にいつも 何かを抱えて暮らしている 普段通りの日は なんにも気づかないけれど 頑張りすぎて少し 疲れて寒かったりする日は 小脇に抱えていたものを 取り出しみつめて驚いたりして 君と暮らしてゆくことは 何にもない無機質な平和に ひとはだの温みを授けてもらえること 下がりすぎるこ…
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おとなりのつぼみさん

おとなりのつぼみさん おとなりのつぼみさんは もうさくんですか あなたはいつさくんですか あなたがさきたいなら わたしはそのあとでいいですよ いいえ おとなりのつぼみさんから いいえ あなたのほうからどうぞ おとなりどうしで そわそわしている おとなりどうしで ゆずりあっている …
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ほどけて

空は昨年の青にほどけて またあたらしい青にからまる 鳥は昨年の風にほどけて またあたらしい風にからまる 私は何にほどけたくて いったいここまでやってきた 気がつけば この町中に ほどけてからまっていた 遠くで光っていた 透明なにおいのする川風よ やがて空にほどけて もっと遠くで海になっ…
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あしたも生きる

なにもかもレールに 乗せられるのは おもちゃの電車のようです あたしはこれから みずからの方角をみつめ みずからを進む電車になって どこかに行こうとしています 動き出すあたしを 車庫で心配しながら 見送ってくれるひとつひとつが ゆっくりと小さくなってゆきます ひっきりなしに 乗り降りしてくる人たちに …
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両替え

数だけ増えた一枚の重みを ポケットに忍ばせて 夕暮れの商店街を歩いてゆく 踏みし出すたびに 微かな音をたてるポケットに そっと手をあてて歩いてゆく どこかで零れないように どこかで失わないように 気にしながら今日を歩いてゆく じゃらりとカタチを変えても ぜんぶ合わせれば同じ呼び名 もう一人…
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らいふ

昨日までのことが まるで嘘のような休日の朝だ 窓の外から聞こえてくる 無邪気な雀たちの声が かみしめた 食パンの耳を甘くさせる いれ立ての珈琲の湯気が 淡い香りを立ち昇らせてくる ゆっくりと近づいてくる 東からの陽に満たされてゆく部屋 一日は速く 一週間は何故か遠くて やがてひと月…
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セピア

君は覚えていなかったの それとも忘れたふりしてたの 小さい頃 君に借りた一冊の絵本のこと ずいぶん長い間 借りたままで まだ僕の家にある絵本のことを ささいなことでけんかして 気まずくなって 返しそびれたままになって 言い出したくても 言い出せなくなって 延々と時間だけが過ぎていっ…
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坂道

蜻蛉を追いかけて 夢中で駆け上がる夢を見た はかなく消えてゆくものを 見上げる瞬間はいつも 果てしなく青くせつなくて のぼり道を踏みしめるたび 途中でゆるみだす靴の紐 太陽の傾斜の向こうから 転がってくる静かな距離は 止めどなくはかり知れなくて 僕たちの歩いてゆく毎日は 平坦なアスファルトでも …
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浅瀬

水がニガテなら 無理やり水に慣れなくていい 深い水面に住む ヒレのある大きな生き物が S字に身をくねらせてゆく そんな時間に生きてゆくほど ここは器用な世界じゃないし 果てない川の青さが 空を吸い込んでゆく日曜日 遠くから眺めるだけで 魚になれそうな日曜日 アプローチは色々 あこがれを姿に変…
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春トオガラシ

冬が来れば春も遠くはない どんなに辛いことがあっても 幸せな日がくるよ 春遠からじ 君が真顔で 僕に伝えようとして噛んだ 春トオガラシ 僕たちの長い真冬の日々は 固くて苦いトオガラシのよう 不得意も嫌なことも 何でも無理矢理飲み込んで 涙目になった日だってある いつも潤んで見えなった …
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憧れ

七色のたまごを 二十四時間あたため続けたなら 夢の中でなら叶うかもしれない 叶う叶わないそれよりも 虹を仰ぐ気分になれることが眩しい 胸に手をあてるだけで 陽だまりに触れられることが眩しい 春夏秋冬一年それ以上 僕の胸に生きる たいおんになってしまった想い 色んな絵の具のような憧れは 鮮やかな水…
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春の予告

陽ざしの染み込んだ カーディガンを 羽織るように ささやかな風が起こる まだ寒いから 少しだけ開けた出窓 植木鉢の草花は揺れる 空の神様は 新しい絵の具で 太陽を描こうとしている とろけるハチミツ色の バイオリズムは降臨する やがて宿る光の蒼い芽が 凍てつく根雪の日々に 凍えそうで曇りそう…
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空の青い鳥

. 顔をあげて 空を見たいよ こらえても 涙こぼれてくる 生き辛い思いを 誰か聞いてよ 時を重ねて つなげたい 明日の空に みつけたい 空の青い鳥 特別なことはいらない ただそっと うなずいてほしいの 青空の孤独に サヨナラしたい 心つつんで 見つ…
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三日月

満たされるものはいつも 大きな全円の光を 放っているけど 欠けたものはなぜかいつも 立ち止まることなく スルーされてゆく なかったことみたいに 生きたくない 精一杯輝く窓辺の三日月 猫背なクセを 正すだけで伸びる ささやかな高さくらいになら 日ごと存在の遠くに 少しずつ近づいてゆけるかも …
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屋根から屋根へと道から道へと

語りかけてくるように 流れてくる休日のメロディー 見たこともない色が つぎつぎと僕の耳を染めてゆく どこにでもある紅茶と 読みかけの雑誌があれば 今日はそれだけで無色透明になれる 窓の外 一人で太陽は踊る 屋根から屋根へと道から道へと 誘われるように音楽も 狭い部屋から外へ流れてゆく 空の上か…
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やじるしのしっぽ

路地に住む灰色の 子猫の大きなあくびがみたい 曲がり角の終点は つきあたりだけじゃない 見方を変えれば とてつもない 大きな世界だってあるんだ 晴天の芝生の青さが この上なく物悲しい日は 早くどこかに辿りつきたくて 行きあたりばったりの道を行く 行き止まりを求めるだけの ひとりよがりな冒険 …
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喜怒哀楽

うつむくことよりも 顔を上げる方がいい 月並みの言葉だけれど 広い空を目にできるから 涙はながれるために 生まれてくるから こぼしてしまったこと 後悔なんてしないほうがいい 生きてゆくために泣いた 生きてゆくために笑った どれもこれも正しいこと 一年という時間に繰り返す 空を見渡せば 喜…
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うつくしい秋

思いっきり小さな頃 真っ赤な落ち葉は 枯葉がかわいそうだから こっそりと誰かが 絵の具で色をつけて あげたのかなって思った できるのなら僕も 枯葉にきれいな色を つけてあげたかったけれど 色塗りがにがてだったから とうとう勇気はでなかった こんなにたくさん 色をつけてあげたのは誰 ペンキ屋…
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あかい ほっぺ

まんいん でんしゃの だれかさん ちょっこり ずらした すわっている ばしょ そのとたん つぎつぎと ずれてゆく ひと ひと ひと ひと ひと あっというま あっというまに  おばあちゃんの すわるばしょ ちいさな あいだと ちいさな あいだ つながって もうひとり…
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遠い遠い世界になっても

僕の知らないオーディオ そっと針をおとして 親戚のおじさんは笑う 息を吹き返したように 流れ出した レコードという中の音楽 お前の好きな あのミュージシャンも リスペクトしてたんダゼ 少年のようなまなざしで 親戚のおじさんは笑う 一気に飛び跳ねた僕の両耳 予想外だった音楽の原点 世代はやわら…
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色鉛筆な日々

モノクロの風景を おろしたての色鉛筆を使って ひとつひとつ色づけてゆくように 一日一日を大切にしてゆきたい 私の生きてきた風景の中は まだ本当の風の色を知らなかった 今まで履いたことのない 目の覚めるような色の靴を足にして 人目を気にせずに歩いてみようか 不安ならば寄り添う背中の影を 味方にしながらで…
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夏の終わり

夏の終わりを惜しむように ワンピースを着た少女たちが 湖面に素足を浸していいる 揺れるみなもを走ってゆく 色褪せた夏の光が瞬きながら 向こう岸へと消えてゆく さようなら今年の夏よ 息を飲むように見上げた ジェット機が描いた雲の線 微かに感じる球形に 包まれた青いこの星の軌跡 日に焼けた少年の放った …
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ベランダの夜空に

取り込み忘れていた花柄のタオル さやさやと揺れていました ベランダをよぎる薄闇の風に ここに立って見えるのは一日の先端 今日の終わりと明日の始まり 次々と灯されてゆく小さな街の光 急に灯された光のように 薄闇の空を微かに染めてゆくものは 肩に積もった真昼の小言を 静かにはらいのけてくれます 生き辛い世…
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無数の橋

戸惑いながら 贈り物を差し出した 君の白いブラウスの両手 照り返す海岸の 潮風と光にふくらんだ 君の遠く 向こう側に映る 白い虹のかたちをした大きな橋 うつくしいその橋も何かに 贈り物を差し出しているのだろうか 翻る初夏の陽炎が ゆっくりと流れながら瞬いてゆく おだやかに差し出されるものは …
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夏の音

おばあちゃんちのテレビ 映っているのは高校野球 テーブルに置いてくれた 大粒の氷入り麦茶 握りしめながら見る決勝戦 カラカラと響いてきたのは 開けっ放しの窓の向こう うずまく花壇の風車 庭木の陰の中 微かに揺れるのは 背の高い大きな向日葵の花 夏の太陽は八月の風に咲いたか 一生の思い出の蕾たちは …
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