明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。




新春を迎え、皆々様のご多幸をお祈り申し上げます。


本年もどうぞよろしくお願い致します。








☆ 更新以前に、年末、年始のお言葉をいただきました皆様、
どうもありがとうございました。

みんな、みんな

今年最後の
番組のオンエアーです

かわるがわる
流れてくるDJの声

少し渋滞ぎみの道路
師走の風に包まれている

赤信号が変わるのを
待ってるドライバー
振りかえれば続いていた

今年何度も通った道
あと少しで来年になっても
僕は同じように通うだろう

そばにいても遠くにいても
大切なものはいつも
同じ場所にあること
教えてくれた人よありがとう

師走の町が来年の町に
変わろうとしている

だけどすべてが
変わってしまうわけじゃない

大切なものはいつも
同じ場所で浮かんでくる

今ここには見えないけれど
通いなれた道の中に
それぞれの一年の足跡がある

交差点を曲がる人も
真っ直ぐ行く人も
Uターンして行く人も

一つの年を過ぎてきた
そして次の年に向かって行く

もうすぐ道の上の空に
鳴り響いてくる
静かな静かな鐘の音は

そばにいてくれる人も
遠くに離れてしまった人も
みんなみんな一つにしてくれる

目をとじれば浮かんでくる
大切なものはいつも
みんなみんな同じ場所にあるから




















水を折る

もうすぐ雨が来ると知っているのに
晴れたそぶりの空は続く

振り返りざまに風が吹いた
誰かの長い髪の音が胸に響く

傘は最初から持って来なかった
もう無理はしたくなかった

やっと空っぽになった
擦れたかばんの中にこれ以上
何も押し込めたくなかった

ロータリーの真ん中
吹き上げる噴水の向こう側

巡廻バスのドアが閉まる
駆け込んでくる人を待ちきれず
決められたままに発車する

降りしきる噴水の雨に
ほろほろと本当の雨がこぼれた

噴水と小雨の皮膜の向こうで
無造作にすれ違う人の群れ

いつのまにか本当の雨は
噴水の雨を覆い尽くす

このまま泣いてしまっても
何が雨か涙かなんて
濡れてしまえばみんな同じ

傘なんて最初から差したくなかった
頬を打つ雨の隙間を
引き裂いてこぼれてくる涙

このまま濡れてしまえば
何が雨か涙かなんて
きっと誰もわかりはしない

自在に往来する雨の色
夢中でつかんだ雫の先端は
きっと耐え切れず割れてしまう

鏡のような水面に
容赦なく落ちてくる雨
幾度となく
ひび割れそうにになっても
壊れはしない水面の影

髪の芯から足の芯まで濡れても
傘は差したくなかった

髪に肩に突き刺さる雨
折ってしまいたくても
折ることのできない水のかたち

きっと濡れてしまえばみんな同じ
傘なんて傘なんて
傘なんて差したくなかった











MYDEAR/ 新作紹介 掲載

**どうもありがとうございました**

冬の中に

さっきいれた珈琲が
もう冷めてしまうくらい
窓の外はすっかり冬
見渡す限りに冬のまち

とぎれないひとの波
それぞれの姿が
曇り空の下に溢れている

どれだけ寒くなっても
動くひとのぬくもりは
コートの内に外にある

白い息
ふいに触れあう
まるみをおびた肩先に

どんなに寒い冬がきても
ひととしてのぬくもりが
ずっとそばにあれば

人は皆
どんな暖炉よりも
あたたかい
冬の中にいられる

誰よりも凍てつく心を
知った時代の君が
きっと今日も誰かの
冬の中にたどりついている

そして誰よりも
本当の優しさに動いている

心無い吹雪のような
冷たい仕打ちを超えて
ゆるぎない強さをつかんだ君

誰かの為に暖炉になる
誰かの冬の中で
誰かの孤独を包んでいる





みずいろバス

さっき乗り遅れてしまった
みずいろバスの背中を
見送ることしかできなかったように

通り過ぎてゆく言葉をあなたは
ただ黙って見送っていた

そして腕に巻かれている
金色の陽ざしの時計を
ゆっくりと顔に近づけながら

みずいろバスの
空白だらけの時刻表を
何度も何度も確かめていた

すべての言葉は
訪れる風の流れのままに

淡々と停車を繰り返しながら
目の前に近づいては通り過ぎてゆく

手にしたい時刻は
ただ立ち尽くすだけでは
永遠の空白へと通り過ぎてしまう

後ろ向きな
日々の流れを変えたいから

海からの空からの時刻をゆく
みずいろの風に乗りたい

ただ立ち尽くすのではなく
この目で触れながら
このゆびで触れながら

今ここにある
こころの全部で触れながら
本当の時のありかを確かめたい

自分を自分らしく
変えてくれる時間の中へ
連れて行ってくれる言葉を待っている

空からのクラクション
海からのクラクション
どうか波打つ鼓動に聞かせてほしい









☆☆ MYDEAR / 新作紹介 掲載 ☆☆

***どうもありがとうございました***











あたたかいおまもり



朝のテーブルの上
おばあちゃんが私にくれた
うすももいろのハンカチが

東がわのまどから
さんさんと降ってくる
秋のひざしでふくらんでゆく

そっと手にすると
それはとてもあたたかくて
ギュッとにぎりしめたくなる

ずっと暮らしてきた家族から
もらいうけたものは
みんな思い出で染まっている

どこに行っても手にできない
一生分の思い出一色で
人の心の奥も染めてくれる

おばあちゃんとつないで歩いた
土手の上の青空の光の声
金色すすきを照らす光のにおい

歩いて歩いて休んで歩いて
歩いて休んでまた歩く

まだ歩けるかい
しんどい時は待っててあげる

うすももいろのハンカチ
今日のポケットに忍ばせれば
私だけのあたたかいおまもり

















大切な贈り物

君がこれまで生きてくれた
お祝いをするために
僕ができることはなんだろう

いつも一緒にありがとう
そんな言葉が生まれてくる
ハートのバースデイ

泣いたり笑ったりの
日々の繰り返し

どんな時も
ただそばにいられること

それがいつも一番
僕たちにとって大切だった

窓辺の花よ
何気ない町の景色よ

見渡す空の下に
架けられた橋を渡れば
おだやかに見えてくる水辺よ

ここで暮らしてゆくと
決めた新しい町の
どんなお店を探しても買えない

どこか遠くの朝のお皿に
そっとのせられる
淡いパンの香りのような

それを包みこむ
そこはかとなくやわらかい
てのひらのぬくみのような

そんなてづくりのしあわせを
君に手渡したいから

特別な日も
そうでない日もずっと一緒
ここに暮らし続けてゆきたい

君と笑うことが大切なこと
君といることが大切なこと

それを感じることを
君に忘れさせるくらいの
何気ないおきまりの日々を

特別な日も
そうでない日も君のために
つくり続けることが大切な贈り物

たったひとつのふたつ

生きるってかなしいね
生きるってさびしいね
生きるってつらいことばかり
生きるってくやしいことばかり

こんな毎日が続いても
僕は誰かに
勝ちたいとも思わない

人と人が争い合うことに
見下しあざ笑うことに
どんな意味があるのだろう

だから僕はせめて
僕のままでいたいんだ

今日を生き抜いた僕が
明日も生き抜くことができるように
おぼろげでも向かい合いたい

こんなに狭い世界と短い時間の中で
誰が一番で誰が最後なんて
決めたって何にもなりはしない

どれだけ僕は僕らしく
生きていられたかの方が大切なんだ

生まれてきた時に授かった
からだとこころ
そして授かったもうひとつのもの

それはたったひとつのふたつ

からだだけではみえないんだ
こころだけではみえないんだ

たったひとつのふたつが
かさなってみえてくる
自身というたったひとつの姿

どんなに便利な生活の中でも
どんなにお金を払っても
欲に溺れて忘れてしまえば
手にすることができないものがある

それはもって生まれてきた
人に生まれるという優しさ

他人の嘘と狡さに
負かされそうな時に思い出してほしい

たったひとつのふたつにある
生まれた頃のままにある
人に生きる君だけの優しさを

埃をかぶって汚れてしまっても
自身のどこかにある
生まれた頃のままの優しさを

力任せの言葉も
言い負かそうとする言葉も
いつかは真実の奥に砕け散る

僕たちは自分らしく生きる勇気を
忘れたくないから
たったひとつのふたつを忘れたくない

だから今日も泣くだけ泣くよ
そして笑えるだけ笑うよ
たったひとつのふたつの姿のまま

かなしいのも僕さ
さびしいのも僕さ
つらいのも僕さ
くやしいのも僕さ

生きているのは僕さ
何一つ嘘の狡さの欠片もない
正真正銘の僕さ

たったひとつのふたつでみえてくる
ひとつひとつではみえなかった
大切なものがみえてくる

生きているのは僕さ
生きているのは君さ
生きているのは僕たちさ

そして今日も泣くだけ泣くよ
笑えるだけ笑うよ
たったひとつのふたつの姿のまま






















一瞬


今年もいつもの帰り道に
赤い曼珠沙華が咲き並び始めた

心の中に流れる季節が
ふたたび僕たちの間で重なった

君のまつげに落ちた埃を
僕の指先で掃った時
君は一瞬だけ目をとじた

君がいつも僕の肩先の埃を
手のひらで何気なく
そっと掃ってくれるようにね

僕も優しくなりたかったんだ
僕も一瞬だけ目をとじていた

風と風とが触れ合うように
どんな些細なことでもいい
通じ合うものが優しさなら

もっと生きてみたい
そう思えるから

時計の針が重なるように
どんな些細な一瞬でもいい
そこにあるものが優しさなら

もっと感じてみたい
そう思えるから

もっと優しくなりたいんだ
気がつけばいつも
君のことを探していた

今ここにある一瞬を
繰り返される一瞬を

そして
たった一度しかない一瞬を
君と感じていたいんだ

赤い曼珠沙華の咲く道の向こうに
赤い夕陽が沈んでゆく

似た者同士の一瞬が
ひとつの季節に重なり合って
深々と想いの赤へと溶けてゆく

ウイナーズ

もしもあなたが長い間
ずっと続けているのに
どうして報われないのと
想い続けているものがあれば

それはあなただけにしかない
神様がくれた時の贈り物
影の中に包まれていた宝物

ずっと続けているのに
ひとつも勝てないとか
ひとつも賞をとれないとか

そんなこと関係ないよ
既にあなたには誰にも
手にできないものを手にしている

今あなたの積み重ねてきた
時間のひとつの長さと
ひとつの高さは

あなたが続けている限り
どんなに偉い人だって
今から始めようとしても
ずっとずっと追いつけない

誰かが急に称えられても
その時間の膨大な積み重ねは
生き続けているかぎり
ずっとずっと追いつけない

だからそんなに
人生の負け組なんていう
とてつもなくつまらない言葉で
あなたを小さく丸めてしまわないで

続けていくことの難しさ
続けていくことの大切さ

誰よりも深く
かみしめて生きてゆく
あなたは人生のウイナ―ズ

もっともっと誇りを持って
もっともっと自信をもって
もっともっと強くなれる

もっともっとあなたの
うつくしい人生の大空に
ほほえみの架け橋を広げて

あなたは心の空を
誰よりも知ってるウィナーズ
優しさなら誰にも負けないはず




本のお知らせ。   詩誌『回生』第え号

 詩誌『回生』第え号(中村正秋氏&小熊昭広氏)が2014年8月16日付けで発行されました。



    ********************



仙台市内数カ所にフリーペーパーとして置かれているそうです。現在入手できる場所は、別欄のリストの通りです。A5サイズ全36頁となっております。

 なお、詩誌『回生』え号は、PDFファイルとして、詩誌回生のホームページから(検索→詩誌回生)ダウンロード可能だそうです。




 回生を置いている場所(2014年8月25日現在)

  ・パソコンパーツショップ「ガレージコム」(群馬県富士見村)入手可能
  ・喫茶ホルン入手可能
  ・書本&cafe magellan(仙台市春日町7-34)入手可能
  ・宮城県立図書館(地域情報室) 入手可能
  ・仙台市民図書館 ※ (担当者不在につき、保留。)
  ・cafe haven't we met入手可能
  ・せんだいメディアテーク
      クレプスキュールカフェ脇フリーペーパーコーナー(配布依頼終了、後日入手可)
  ・仙台文学館入手可能
  ・宮城県美術館入手可能
  ・Book Cafe 火星の庭入手可能
  ・蔵人(くろうど)(村田町)入手可能
  ・大河原町図書館 入手可能

  ※ 各場所には、15部程度(ガレーコムは除く)しか置いておりませんので、すでに無くなっている場合やまだフリーペーパーコーナーに置いていない場合がありますのでご注意ください。




                  よろしくどうぞ


たこやきぽろぽろ

みんなで連れ持ていかんでもええ
気ままで手ぶらな夏休みに

すっかり慣れてしまった
あの頃の八月の私は

そろそろ
九月にならなあかん私に
まだまだ
追いついてへんかったねん

九月は四月とはちがって
幾らかクラスの子らとなじんだ
風の匂いがするはずなんやけど

ほんまのほんまは
みんなとふざけている時も

校庭のまんなかで
ワイワイガヤガヤ立ってる時も
ずっと一緒におるのがなんや怖かった

近づきすぎて友達関係
いつかうまくいかへんようになる日が
もしかしたら来るんちゃうかって

どっかで怖がっとってん
生まれながらのおくびょう者やから

騒がしい見かけの割りに
怖いん屋って
私の気持ちの裏看板は

目を凝らしても誰にも見えへん
内ポケットの路地の奥

ツクツクボウシが鳴く
夏休みの終わり

今は別の学校の
幼なじみのあんたと
久々に待ち合わせしとった

一緒に通学してた
古い商店街のある駅で
昔みたいに待ち合わせしとった

あるかないかと看板を探した
行きつけだった
あのこなもん屋の

商店街のアーケードの中
ちらりほらりと人が行き過ぎる

店頭の半袖と長袖が
ぷらありぷらあり揺れている

持っていって屋
どうぞこうていって屋

何軒も何軒も行き過ぎる
店の看板を見回してたら
昔あった文具屋の
閉まったシャッターに気いついた

白くペンキで塗りつぶされた
店の名前の看板に
今までどうもおつかれさん屋

あの頃は新学期が近づくと
何や知らんけど
今よりもっと不安やったな

シャーペン一本にも
ノート一冊にも
クラスから外れへんように

気いを回さへんかったらあかん
ちぢこまってた私しらがおったな

「ここやで!」って
わかるように掛けられていた

まだ営業中やった
あの店の看板
気のせいか狭くなった気がした

行きつけやったこなもん屋の
少々の店のガタは
見のがして屋
気にせんとって屋

あの頃の
放課後の帰り道

先輩に叱られた日の
友達の足引っ張った日の
進路がわからんようになった日の

寄ってこ屋
こなもん屋

たこやきぽろぽろ
ほふほふと
ほうばるたんびに声がしてくる

無理せんとき屋
ぼちぼちいこ屋

しんどいこともなきたいことも
何にも言わんと
熱い鉄板の上

くるくるとまわしてくれる
大粒のこなもん屋

どんなもん屋
いてこましたろ屋

あとからあとから
ぽろぽろこぼれてくる
小さい悩みも大きな悩みも

ほふほふはふふの
おてのもん屋

さあさ さあさ

遠慮するな屋
もっと食べて屋
元気だして屋

ここにくれば
しょうもないジョークの
投売りセールや
通い慣れたこなもん屋

さみしがり屋も
不安なん屋も
だるいん屋も
やりきれへん暇を売りにくる

負けんな屋
これから屋
もうすぐ屋
新学期屋

赤字なんて承知の覚悟で
自分のことみたいに
やりきれへん暇をこうてくれた

なんだかめっちゃ
うれしかってん屋

ここはそんじょそこらの
こなもん屋じゃなかってん

夜の観覧車

大きく時間の空を刻むように
夜の観覧者が回っている

ゆっくりと一日の出来事を
ひとつひとつ思い出すように
夜の観覧車が回っている

ジェットコースターのような
荒らいだ真昼のスピードに
追われるような時間も
今はぴたりと色を止めている夜

この夜空へと
とくんとくんと上昇してくる

鼓動が響くようなテンポで
生きていることの愛しさを想う

生きてゆくって
毎日が出会いの連続だね

それは初めての
出会いだけではなくて
毎日出会える人のこともそうだね

ゆっくりと
全円を描く夜の観覧車

見慣れた海の景色と
新しいショピングモールのライトが
じわじわと目の前に浮かんでくる

随分前から知っていることも
新しく目にしたことも
それぞれの今日の全部だね

ゆっくりと
明日への音を刻んでいる
今日の夜の観覧車は回る

大きく輪を描いて
一日は出会いを繰り返す
明日も今日の僕は君に出会いたい









夕焼けのっぽ

夕刻の大通り
小さな自分の背中を
誰かの影が追い越してゆく

赤らんだ空の光
夕焼けはどんな人の影も
どこまでものっぽにする

目の前を何人も通り越してゆく
夕焼けのっぽの影を
伏し目がちに見送っていたけど

ふと振り返った時
みんなと同じように
夕焼けのっぽになっていた

そんな僕の影に気づいた時
何だか泣きそうになってきた

どうか笑わないで
いっそ笑われてもいい
だけど思わずにいられなかった

単純なことだけど
僕はここに生きているから

今ここに影があるって
やっと今頃
わかったような気がしたんだ

どんなに僕の前を
大きな人が何人通り過ぎても

僕の影は僕の影なんだ
誰にも奪い去ることはできない

どんなに追い越されても
どんなに踏みにじられても

痛みを伴わない影の強さを
夕焼けは知っている

伏し目がちな日にも
離れることなく
小さな自分の姿に続く影

少し猫背な姿にも光を当てて
すぐそばにある強さを
どこまでものっぽにしてくれる夕日





MYDEAR/新作紹介 掲載 一部改変

*どうもありがとうございました*
                                                                  .

一瞬の毎日

さっきまで
咲いていた花びらを
突然の風が散らしてゆく

それは誰にもわからないこと
一瞬の結末なんて

それはそれぞれの
胸の片隅のどこかに
息をひそめているはずだけど

おなじ自分の中なのに
そのありかを探す術もない

それを誰も知ってはいけない
もしも知ってしまったら
きっと嘘でも
真っ直ぐでいられなくなるから

ただでさえ
知りたくないことだらけの
一瞬の毎日だから

無垢でいられる孤独を
遠い意識の底で選んでしまう
淡く青い月影の夜は

知りたくないことばかりの
一瞬の毎日の中で
知りたくないままに
全身全霊に咲いている花びら

夜に咲いて真昼に散ってゆく
そんな花びらだとしても
永遠にむかって咲いている

生きていける時間なんて
計りたくない
知らないままに咲いていたい

生きてゆきたい時間を
走リ続けて
一瞬の毎日に咲き乱れたい


平凡という名前のしあわせを

本当は平凡なんて
どこにもないかもしれない

だって生まれてきたこと
それがすでに奇跡だから

だけどふみつけられた涙
見て見ぬふりをせずに
とおりすぎることもせずに

ここに出会ってくれた
たいせつなあなたの為に

大きな海のような
大きな空のような時の中で
ありったけの何かを贈りたい

住み慣れた町の店先にある
あなたが好きな
うすべにの花のように
ふかふかなパンのように

そこにいつもあることが
当たり前のような
そんなとびきりのしあわせを
平凡という名前のしあわせを

生まれてきた僕なりの奇跡で
非凡なまでに優しすぎる
そんな日々のあなたに贈りたい

かばん

                                                                  
君に僕のかばんの中を
見ていいかと聞かれたけど

今の僕はその中を
見せることに躊躇している

ファスナーを開いてそっと
かばんを開いたら

数えきれないほど
ちっぽけで情けない涙が

かなしいくらいに
キチンと並べられているから

それでも君は僕のかばんを
いつものように持ってくれますか

中身とは正反対の
君がくれた金色のキーホルダー
ゆらゆらと光らせながら

整理しなければ入りきれないほど
ちっぽけで情けない
涙のかばんの中を

ありふれた僕のひとつとして
受け入れてくれますか

使い込んでくたびれた
四角いかばんの角に
まあるい夕日があたっている

君の笑う影が
かばんの上に重なって
踊っているみたいに揺れている



                                                               .


(括弧)

理由のありそうでないような
あやふやな括弧で
とじられている
僕という一日の本当

そうしないとみんな
なんだかどこかへ
消えてしまうような気がして

時のかたわらに添えてしまう
小さな言い訳みたいな
とても短い言葉

そのままでは繋がらない
その言葉をせいいっぱい
伝えたい両手でとじて

日々という線路の真上
いつもとかわらない
人という方角に揺られながら

繰り返し繰り返す
明日という名の駅を
どこまでも乗り継いでゆく

いつか誰にでも
言葉足らずで不器用な
ありのままの僕を

特別に何かを
添えなくても
わかってもらえるように

時には蛇行しすぎて
動けなくなりそうな明日も
乗り継いでいかなくちゃ

理由がありそうでないような
あやふやな括弧を
いつかふりほどけたなら

特別でも仮のものでもない
暮らしの中のスピードは
きっと穏やかに加速するはず

時のかたわらに添えられた
どこか自信がなくて
はかなげな言葉

伝えたいのに伝えきれない
まるで印のような
とても短い言葉が

いつか擦り切れて
見えなくなってしまっても
その意味は消したくないから

愛しい人を抱きしめるように
強く心でとじたい
生きてゆく一日のまんなかを







MYDEAR/新作紹介・掲載

*どうもありがとうございました*




やさしい雨の記憶を

誰かが夜に隠していた
真夜中のタクトを
そっとスィングしたのさ

ほら もうこんなに
淡い夜の風が流れ始めている

うっとうしいって
いつも煙たがられる雨も
その手にかかれば素敵な雨

しっとりとしっとりと
まるでうれし涙のような
真珠のピアノの音になる

惚れっぽい
水際の蛙たちが
そんな雨に恋焦がれて

ほら とっておきの
ラブソングをハミングする

夜はたちまち恋になる
恋になる

夜はたちまち
恋になったのさ

愛しい雨を想う
あちらこちらから
ラブソングが響き渡る夜

白々と広がる
夜明けのアンコールまで

再びふくよかな草の雫が
朝に奏で始める
昨夜のやさしい雨の記憶を