僕たちのインターバル

ヒラヒラ落ちてきた
目の前の一枚の紅葉
広げた手のひらに重ねたら

子供だった手のひらも
とっくの昔に追い越した

大人の一枚の手のひらを
そこはかとなく感じた

幾度も繰り返された
秋という季節
手のひらを熱く染めた瞬間

道草の途中で
手にした小さな石ころ
誰もいない真っ直ぐな砂利道

ふとすれば切なくなる
走馬灯のようなスピードで
めくりめく連続の思い出たち

昨日までの悲しみも寂しさも
明日の向こうへと一心に
追い越そうとしている
ひたむきな今日の夕映えよ

手のひらにあるこの思いを
生きているシーンの
透明なゾーンへと強く
突き抜けるほど投げかけたい

熱い思いも凍える思いも
生きてゆくという
思いのひとつにする為のように

いつもラストスパートまでの
季節をさりげなくつないでいた

夏と冬をつなぐ季節
真逆の季節をつないでいた

やがて僕たちは
眠りながら目覚めながら
様々なイロハを通り越して

それを四季と呼び合うんだ
そして一年というゴールを
固くこの手にするんだ

もうすぐやって来る
寒い寒い季節

温めた日々のローティション
途切れてしまわないように

孤独と勇気をつなげるように
始める僕たちのインターバル

どんな真冬の思いがこようとも
陽光のようなプラスの思いを
これからの日々に重ねてゆきたい

ひとつ凍えたとしても
自ら育てたもうひとつの
手のひらの情熱で守り続けていたい

強くなりきれなくたっていい
強くなりたいっていう心で
波打つ日々を守ってゆきたいんだ

にんげんの空

見上げれば遠すぎて
見上げれば広すぎて

僕一人という存在が
ちっぽけに見える夏の空

入道雲はどこまでも
高さを誇るように伸びてゆく

何一つ届かない空
手を伸ばせば
伸ばすほど離れてゆく

この空の下に生まれてきて
この空の下に生きてゆく

足りないものも
満たされるものも
この空の下で感じてゆく

たった一つだけ言えることは
僕はにんげんだということ
この空の下で生きてゆく

空になんて届かないけれど
遠く広い世界がある

ないものねだりを重ねても
それ以上何にもならない
もっと見渡せるものがあるはず

生きてゆける時間の中で
愛おしいものを感じる空間を
見つけることができたなら

それがきっと
にんげんの空の始まり

青い心を滾らせ
白い雲を自由に沸きあげて
膨らみ続ける時に翼を広げる

いつまでもどこまでも
透明な風が吹き抜けてゆく

溢れ来る胸の愛おしさで
抑えきれない歓喜が弾けたら
やがてリアルに届くだろう

あんなにも遠すぎた空に
広すぎた空に
生きているにんげんの声が




ミントの風

真昼の大通りから
いそいそ自宅へと帰る途中

ゆらゆらと揺れる陽炎
生まれては消えてゆく光の煙

一足踏みしめるたび
滲んでくる大粒の汗の雫

頭に肩に痛いくらい
ジンジン射してくる真夏の太陽

今日の気温はすでに
体温を超えて
吐く息さえ熱くする午後

やっとの想いで辿りついた駅
立ち止まって押した
自販機のボタン

握りしめると滴ってくる
ペットボトルの雫

ガラスの向こう
開いて入った
ホームの待合室の中

この世界中
ミントの風のように
別世界の空気に包まれていた

今日の真夏の真昼の大通りを
通り越してこなければ
とうていなれはしなかった

こんなこんな気持ち

今日の陽ざしを感じて
新しい風を知ること
忘れそうな時に季節は手招く

時の被膜を優しく超える
一瞬の風に目覚める想い
それをささやかな幸福と呼びたい






**MY DEAR 新作紹介 掲載**

*どうもありがとうございました*



響き

コンビニのドアのチャイムが

快くフロアーに響く夜

素足にサンダルのゆびさき


買うあてもなく

ただ何かを手にしたくて

ふらりと一人出向いた夜


ガラス越しの国道には

途切れることなく

走り続ける車の風の音


やせ細る三日月は

せいいっぱいの光を

小さな町の夜に

黙々と照らし続けていた


何気ない夜だけど

何気ない出来事だけど

手にするものの一つ一つが

どこかしら胸に響いてくるこの夜


何となく好きなチョコレート一つ

レジの音が勢いよく店内に響く


外に出ればコオロギの声

狭い空き地の草むらから響く


今日も一日は

終わりを迎えたけれど

一日の夜はこんなにも生きている


夜の小さな不摂生

いつもの部屋に帰って

お菓子を食べてジュースを飲んだ


ささやかなつぐないのように

こしこしと歯磨きの音が響く


いつものようにベットに横たわり

そっと目を閉じれば

やがてふわりふわりと寝息が響く


あてもなく生きているようで

穏やかに眠り目覚めること


みんな胸のどこかに願いながら

それぞれの暮らしの

何気ないリズムの中を生きている


耳に聞こえるものすべてが

響くものじゃない

生きて感じられることがすべて


だからふと胸があつくなって

泣きそうになることもあるんだ


それは君だけに響いてきた

生きてきたという何気ない証


たとえどこにあるものであっても

何でもないことであっても

君への特別な響きなんだ


思わず手に取って

抱きしめてみたくなるんだ

かげもかたちもない響きなのにね























愛用

キーボードから手を放して
久しぶりに握りしめた
古い一本のペン

ゆびさきには
さっきまでとは違う
言葉の熱が帯びてくるのです

この一本も生きているのです
ところどころに浮かびます
あまたの細い傷痕が

昼下がりの緑の日も
真夜中の雨風の日も

綴り続けるものはすべて
胸の中の一枚の元へ
さやさやと記されてゆきます

懐かしいことも
ありふれたことも
まばゆいあたらしさも

風のような時に運ばれては
切手のいらない住所に
静かに届けられてゆくのです

そしてずっと昔からある
木目の想いの引き出しに
音もなくしまわれてゆくのです

ふと握りしめたくなる
古い一本のペン

不器用な癖も
褒められるのが苦手な癖も
言葉の熱は変えてくれるのです

真正直に生きたいけれど
生きづらい切なささえも
そのままに記してくれるのです

ああ 親愛なる人よ

言いたいことの半分も
伝えきれない時にいつも
握りしめている古い一本のペン

今日は愛する一本が
さやさやと代筆してくれる
真正直な言葉の熱を
ま白な一枚に込めたいのです

何よりも大切な想いを
奥底に伝えたい時には
どうしても必要だから

生きている言葉が
たくさんたくさん必要だから
どうしてもあなたに伝えたいから







MY DEAR/ 新作紹介 掲載

**どうもありがとございました**


水彩

いつか見た
ロビーの絵画ような
みずいろの空に雲が流れている

どちらが現実の世界で
どちらが絵の具の世界なのか
わからなくなりそうな光の午後

遠くを想えば
幸せと思える時間は
暮らしの中のほんの一瞬で

だけどそれは
計ることのできない
あふれくる光の現実だから

ずっとこのまま
その色彩を残していたくなる

鮮やかな幸福の色彩
今ここに見えたすべてが
擦れて消えてしまわないように

そして擦れた現実に触れた時
すぐに想い起こせるように
すぐに取り戻せるように

瞬きするたびに弧を描く
瞳のUターン
淡い風の絵筆で重ねてゆきたい

絵の具の世界にいるわたしも
現実の世界にいるわたしも
すべては流れゆく一連の風景の中

あの日のロビーの絵画のような
素手で触れたくなるような
したたかな純粋
鮮やかな水彩の輝き

ここにあるからだごと
時間ごと包んでくれるような
鮮やかな水彩の呼吸

見上げれば眩暈さえ
誘いそうな目の前にある
真昼の光の中で

行ったり来たりのあの日
溶けあいながら
色づいてゆく現実の水彩

二つの世界の時の輪を
重ね合える瞳にだけ
映し出される
至福のしたたかさを

どうかどうか今
すぐにも擦れそうになる
崩れそうになるわたしの胸に








MYDEAR /新作紹介 掲載
**どうもありがとうございました**



僕の細道

さようなら僕の大通り

住み慣れた街に居る
心の住処を引き払い
旅立つ気持ちを確かめる春

片耳に手をあてれば
今でも染みてくる
言い知れぬあの夏の景色

大通りの日差しにさらされた
石畳に翻る陽炎の曲線
街路樹に居た蝉の声

予期せぬ出来事に
泣きながら走った日
真昼の雨の中で
涙も汗もわからなくなった

そこはかとなく湧き上がる
白く濡れた道の匂い
待ち望んだ雨上がり

パーカーのフード
脱いだら映った
ずっと向こうの交差点の色

あらゆる道が交わっては
すれ違っているこの空の下

微かにうごめく青い一点が
この目に響いて
どうしても止まらなかった

心の住処を決めたくない

見知らぬ道の在処を知る術は
流れゆく景色の日々を
見つめ続ける心の中に

だから
さようなら僕の大通り

先ゆく道は長くても短くても
広大な道であっても
それはその時々の僕の道

人一人すれ違うのが
やっとの道であっても
それは通り抜けたい僕の細道

風と光と雲の流れるままに
あらゆる道を受け止めながら
感じるままの日々の旅

すべての一つは
大きな一つに続いている
戻れない一度きりの日々の旅

さようなら今までの春
さようなら今までの僕の道
さようならさようなら僕の大通り




**** MYDEAR/新作紹介 掲載  (一部改変) ****
       どうもありがとうございました。

青い月夜のゴミ箱ブルース

誰も振り向くことないゴミ箱は
あたりまえなのですが
ゴミを捨てる時しか振り向きません

捨てるものは何かありませんか
そんなことを急に言ったら
通り行く人はみんな急ぎ足で
私を避けてゆくでしょう

私にできることは何ですか
誰かの要らないものを
受け取ることだけですか

それ以上何かを
求めてはいけませんか
どこから見てもゴミ箱だから

青い月夜のゴミ箱ブルース
もう終電も終わった街の静けさ
誰一人いない路地裏の片隅

うわずった声
おぼつかない足取り
夜に震わせながら歌っている

突然私を抱きしめて泣いた
酔っ払いの涙
初めて受けとった人のきもち





MYDEAR / 新作紹介 掲載
**どうもありがとうございました**







モノクロの空が

どこへも行きたくない
休日が続く日は

目を閉じても
色のない景色が広がる

そんな心のままでは
ずっといられないから

せめて近くの小川に映る
空を見に行くことにする

青いはずの空の色が
木立の日陰に続く
小川のモノクロに流れていく

だけどそれは
本当の空じゃない
顔をあげてみればわかる

モノクロの空が一瞬で
本当の青空になる

きっと人の心も
こんな風景の近い場所にある

たぶんそんなに
難しいことじゃない

優しいきっかけが心を開く
今日も小川は流れる

小さなモノクロと
本当の色を
生まれし時のせせらぎにのせて


がんばりすぎない歌を

何に縛られてる
縛られてる
縛られてるの

不自由という言葉が
悪戯に心をとがめる

上辺とルールだけ
そんな世界に
息を詰まらせている

降ろしたての
スーツさえ
まるで重い鎧のようだ

評価と責任が
摩擦してる
オフィスの一角で

他人の目線をうかがう
情けない自分に泣いた

何を感じながら
何を求めて
何を信じて
生きていけばいいの

答えはいつも途中で
薄曇りの空に消えてゆく

晴れそうで晴れない
薄曇りの空の下で

がんばりすぎない歌を
即興で作った

言葉にしたいけど
上手く言えない
不器用な思いたちを

上手く吹けない口笛で
音符にして風に流した

何に縛られてる
縛られてる
縛られてるの

いい人でいないといけない
無意識な思いに決別を

大手を振ってゆくんだ
背中伸ばし
次の休日に向かって

休日に向かって
働くこと
それも素敵な生き方

水を得た枝葉のように
心も体も伸ばして

自分だけの根を伸ばし
自由な溜息つくのもいいさ

君は君しかいない
君だから君だよ

そんなやわらかな風が
見慣れすぎた空を包んでゆく

固くなった肩を叩いて
苦笑いすることさえ
がんばりすぎない歌になれ

何も縛られない
縛られない
僕たちにはそんな休日が必要






MYDEAR/新作紹介 掲載 (一部改変)

***どうもありがとうございました。***

もうそれ以上

もう何もないのです
もうそれ以上

登りつめれば広がっていた
一面に光る枯草の雫
昨夜の窓越しの雨の音

見上げた空の青さ
もう何もないのです

見上げたこの空には
もう何もないのです
昨夜の雨はもうそれ以上

休日の風の中
いつもより
あたたかな冬の中

いつもより
両手を少しだけ
強く振って歩きたくなる

何でもないひとりきりの私
何でもない時間の中

もうそこにはそれ以上
もう何もないのです

いきあたりばったりの
不器用にでも辿りつける
もうそれ以上何もない世界

遠くに見える住宅の
フェンスに掛けられた傘の花

昨夜の雨の音は消えてゆく
目の前に広がる
枯草の雫の匂い

休日のおだやかな晴れ
光と風の匂い

ここに辿りついた人の
胸に沁み込んだ
寒色の雨さえも消してゆく

遠くに見える鮮やかな傘の花
もう何もないのです
今はもうそれ以上





MYDEAR/新作紹介 掲載
**どうもありがとうございました**

冬の向日葵

カーテンでもソファーでもない
僕自身を守ってくれる
本当のものは

誰にも見られたくない
色んなもの冷たくする不安を
あたためてくれるもの

真冬の朝を映す暖房の部屋
一冊の写真集の中で輝きながら
咲いていた向日葵のその姿

真夏の空の光を浴びながら
金色の花びら揺らしていた

窓の外は本当の空
どこにも向日葵はないけれど

久しぶりによく晴れた
果てしない今日という空の光がある

何かを隠し続けることよりも
何かにずっと横たわることよりも

誰もいない今日の空の光に
いっそ心の全部を
さらけ出した方がいい

ふとそんな風の声を感じたから
朝一番の窓をひらきたくなった

振り向けばすぐそばに映る
過去という凍てついた
花びらの一枚一枚を

眩しい向日葵色に変えたくて
計り知れない自然の光を浴びたくて

明日の方向を感じながら
ただあるがままに揺れたくて

写真集のような動けない世界から
見えない窓をひらき

降り注ぐ本当の光の世界で
私は私だという勇気で輝いている
冬の向日葵になりたくて










***MYDEAR/新作紹介 掲載 (一部改変) ****

どうもありがとうございました。

.

距離

道行くその先に
何があろうとも
生きていきたいんだ
ここに生まれてきたから

誰かのものさしに
計られたくない
目の前にある距離
踏み出してゆきたいんだ

そう感じさせてくれた
友だちの住処は遠くても

目を閉じれば
すぐにそばにいる
心強い距離が僕にはある

手の届く場所にいるだけが
すぐそばという距離じゃない

離れていても感じられる
君のあたたかい心が
僕にとって一番の距離

君に出会えて本当によかった
繋がっているその距離が
ずっとそばにいるって君だから



.

おそろい

寝ている時も起きている時も
休みなく働き続ける
左胸のハート

忘れかけてしまうけれど
はっと思い出すんだ

特別な想いに出会うたび
とくとく響いて
はっと思い出すんだ

思い切り笑いたい時も
思い切り泣きたい時も
確かに響いていたよ

誰もが暮らしてゆく
せわしい時の音に
かき消されそうになるけれど

どこにも行かない
置き去りになんかしない
今日も胸の中で響いている

これからもあなたと
履きなれた靴音のように
どんな時にも響かせたい

暮らしてゆく時に響かせたい
生きてゆくっていう
おそろいの音







冬の質問

北風の冬に手ぶくろが

あたたかいのはどうしてですか


手のひらを冷たくする

デスクの向こう

ガラス窓越しの風の並木道


片手で触れた冬のはじまり

途切れない人並みを染めていた


厳しい北風は目の前に置いてゆく

とけそうでとけない

冬の質問を今日も置いてゆく


これから始まる冬の日に

吐く息は日ごと白さを増してゆく


きっとそこに置かれたてぶくろが

あたたかいからじゃないんだ


手にした人と

手にされたものたちが

かさなりあってぬくもりが生まれたから


窓越しに浮かんできた心の友よ


今日も君は生きてゆくよ

どんな人生の風にも

どうにか耐えながら生きているよ


そして君は忘れないでいるよ

かなしみにつつまれて

見えなくなったぬくもりに


しずかな勇気で手を伸ばし

きっと誰かをあたたかい笑顔にしてるよ


誰も冷たい孤独にだけ触れないように

誰も生きているこの身の

たったひとつのぬくもり

どこかに忘れてしまわないように


きっと本当に触れなきゃいけない

心の寒色(さむいろ)に

時間のゆびさき伸ばして続けている


こつこつと音を立てながら

僕たちの耳に近づいてくる時間の音


この身をあたたかさを知る時

自身にもたらされた

たったひとつのものを感じる


僕たちは今日も生きている


僕たちはこれから

何かひとつに触れながら

時には余りにも理想を求めすぎて


もしかしたら泣くことだって

あるかもしれない


だけどそれでも負けずに

もう一度笑いたいと願い続けたい


とまどいの空白の迷路に

頭を抱えることになったとしても

繰り返される質問の答えを探し続けたい


ある日は一日の定規をあてながら

ある日は明日のノートに顔を伏せながら


どこにでもある消しゴムでは

消せそうにない平面

くりかえされる日々の根底の思い


冷たくても

この手で触れながらここに生きていく


今年も冬がやってくる

今日も厳しく北風は問いかけてくる

今日も切なくこの町に問いかけてくる



半分夕暮れ


週末のホームセンターで
鳴いていた虫の声が
まだ耳に残っている

四角い箱につくられた
不自然な自然の中

こんな狭い空間にだって
自由をつくることは
できるんだっていうように

いつまでもいつまでも
生きているその声を
行き過ぎる人の靴音に
負けないくらい響かせていた

週末の店内の人いきれ
どこもかしこも
レジは長い長い人の列

渡されたレシートの上の
おつりが次々と
使い慣れた財布に消えていく

やっと通り抜けて出口
見えてくる
空きのない大きな駐車場

そこから見えた
半分夕暮れの源の空から
ひんやりとなびいてきた
小さな秋の気配

おとなりに見えている
半分草むらの建物の跡地から
力強く響いてきた
小さな虫たちの大きな声

自由は自由
誰にも境界はひけない

いつだってどこでだって
作り出すのだって
感じるのだって

それは自分自身の中に
きっとあるから

息の詰まるような日々の中でも
ただっ広い日々の中でも
オリジナルの自由を
手にすることはできるはず

半分だけ寂しくたって
半分だけ虚しくたって
残りの半分は
きっと明日に続いてるはず

ただ後悔のしないように
長い時をすり抜けていきたい
そこで見つめる心の空に
愛ある風を感じていたい

半分夕暮れのとろんとした空の下
もうすぐ本番の夕日が熱く溶ける
人々の車は次々と帰路につく

見慣れたという名の奇跡は
空気のような幸福で
僕たちの休日を包んでくれる






**MY DEAR/ 新作紹介 掲載 **
*どうもありがとうございました*

ひとり

ひとりはひとりじゃない
ひとりはこれからのもうひとり

生きていればいつか
出会える心の友だちに

ひとりはおわりじゃない
ひとりはこれからのはじまり

生きていればいつも
出会える心の旅人に

そしてふたりからさんにんへ
もっともっと遠くにつながる
ひとりの始まりよ

あなたがいたから
ぼくはもうひとりじゃない

あなたが生きてくれたから
ぼくは君と巡り会えたんだ

ひとりはふたりへの旅立ち
ひとりの今のあなたと会うために

ひとりのぼくは今日まで
泣きながらでも
どうにか生きてこれたよ

そしてこれからも
ひとりからはじまったこと

くちびる かみしめて
ひとみを 強く閉じて
もっと感じたい

いのちの鼓動を
いのちの瞬きを
ひとりからはじまった全てを








星の匂い

夕涼みと言いながら
玄関のドア開いて
夜風の道を歩き出した

ずっと広いと
思っていた夜空が
今日はこんなにも近い

星は距離を置きながら
届きそうで
届かない薄明かりの中

立ち込めた草の匂い
どことなく
染みついた星の匂い

いつのまにか時はすぎて
知らぬ間に
子供は大人になってゆく

それは後から
振り返っていつも
しみじみと感じること

幼い頃は
とてつもなく大きく感じた
一つ一つの悩みも

遙か今は
芥子粒ののような
小さな夜空の星の物語

だからきっと
今の一つ一つの悩みも
いつかそうなるのだろう

だって今日は
いつもよりも
こんなにも夜空が近いから

どんな遠い距離も
まっすぐもジグザグも

途切れずにひとつであれば
想いのひとすじに
きっと続いている

だから僕は信じているよ
今日の夜空の近さを

この手を伸ばすたびに
感じられる
今日の夜空の近さを

草の匂い染みついた
星の夜風が僕たちを
少しずつ大人にしてくれる









MY DEAR/ 新作紹介 掲載

**どうもありがとうございました**